
◆ はじめに
「たくさん練習してるのに、なかなか演技が上手くならない…」
「先生に言われていることはわかるけど、どう直せばいいかわからない…」
そんなふうに感じたことはありませんか?
演技指導をしていて、伸び悩んでいる人に共通して見られる“ある傾向”があります。
それが、次の3つの“わからない”です。
◆ 1. 違いがわからない
これは一番最初にぶつかる壁です。
自分と他の人、またはプロの演技を見比べても、「何がどう違うのか」が具体的に言語化できない。
● よくある例
- 「うまいなぁ…でも、なんでうまいんだろう?」
- 「自分のもそんなに悪くない気がする…」
- 「なんとなく違うのはわかるけど、言葉にできない」
● なぜ起こるのか?
“違い”は、意識して聞き比べて初めて見えてくるものです。
特に演技初心者は、自分の録音を聞いても「声が変」「恥ずかしい」と感じるだけで、技術的・表現的な違いにまで気づけないことが多いんです。

● 対処法:録音&比較→気づく耳を育てる
私のレッスンでは、生徒に自分の録音を聞いてもらい、「どこを直したいと思った?」と必ず先に聞きます。
講師がすぐに答えを言ってしまうと、どうしても「正解を待つ姿勢」になりやすくなってしまうからです。
自分で考えて、自分なりの答えを出す経験が、判断力と成長スピードを育てる鍵になります。
●よくある誤解と、気づきのズレ
養成所に通っている人だと、「過去に言われたことのある指摘」をそのまま答えてしまうケースもあります。
- ちょっと喋るのが早かった。
- どこを立てたいかわからなくて、棒読みだった。
- 声がきちんと出ていなかった。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、そうした言葉が“反射的”に出てきていて、その時の自分の演技に本当に当てはまっているのかを、ちゃんと検証できていないことが多いんです。
●成長の鍵は、「自分で違いに気づける耳」
“違いがわかる耳”は、才能ではなく訓練で育てられます。
録音 → 比較 → 言語化 → フィードバック
このサイクルを丁寧に繰り返すことで、少しずつ「自分の演技のクセ」「表現の幅」「他人との違い」が見えてくるようになります。
◆ 2. 何がダメかわからない
自分ではそんなに悪くないセリフを言えたと思っているけれど、講師からはいつも「芝居ができていない」と言われる。
「芝居って何? 感情移入してセリフを言えたたかどうかじゃないの?」
これも非常によくある悩みです。
●生徒と講師の「視点のズレ」
よくあるのが、“アニメで聞いたことのあるメロディー”をなぞる演技。
多くの生徒は、音の高さやリズムといった「音の印象」に注目しがちです。
もちろん、音の研究は技術として必要なことですが、講師の視点は少し違います。
講師が求めているのは、「テンプレートの音」ではなく、「物語に合った中身のある芝居」なのです。
●講師が見ているのは、“背景と目的に合った表現”
特に舞台出身の先生や演出家系の講師は、表面的な音よりも“芝居の意図”や“動機”を重視する傾向があります。
- どんな役作りをしたのか
- どんなシチュエーションをイメージしたのか
- どんな目的でそのセリフを喋ったのか
読解を経て、“その場に合った芝居”ができているかを見ています。
●対処法:視点を変える・読解の力を鍛える
まずは「自分の演技が、キャラクターの目的や状況に合っているか?」という問いを持つことが重要です。そのためには、台本の読解力が欠かせません。
読解力を鍛えるには、中学校の国語ドリルなどをおすすめしています。
特に「文章の主旨を捉える力」「言葉の裏にある意図を読む力」は、芝居に直結します。
読解力を鍛えるのに、おすすめの本やドリルをご紹介しておきます。
おすすめ教材はこちら:
◆ 3. 何をやればいいかわからない
やるべきことが多すぎて、何から手をつけていいかわからない。
これは、演技を始めて少し経った段階で出てくることが多い悩みです。
●演技の勉強は“やることが多い”
- 発声・滑舌
- 読解・感情表現
- インプット(映像研究)
- セリフ練習
- ボイトレ・演技実践・自己PR etc…
全部やろうとして、結局どれも浅くなる、という悪循環に陥りがちです。
●対処法:「自分に合った最短ルート」を知る
私が指導で一番大事にしているのは、その子の声・演技の傾向・性格・目標をふまえて、
「その人にとって一番伸びやすい方法=最短ルート」を一緒に探すことです。
以下に、よくあるタイプ別の例をご紹介します。
● ケース1:ナチュラルな芝居・感情表現が素直な子
→ リアリティ重視のアニメ、外画の子ども役などで本来の良さを伸ばす
→ 実際に身体を使って芝居の練習をし、五感を鍛えることで表現力が上がる
このタイプは、俳優の先生に学ぶのもおすすめです。
“形”から入るテクニックに頼りすぎると、かえって迷走してしまう場合もあります。
抑揚が弱く「棒読みに聞こえる」と指摘されることもありますが、
まずは自分の内側から出てくる“リアルな感覚”を鍛えることが近道です。
● ケース2:アニメ向きの声・萌え系
→ 流行アニメの研究と分析(自分の声がどんな性格のキャラにハマるか)
→ キャラに合わせた芝居の幅を増やす練習+写真写りやビジュアル表現の研究も大事
このタイプは、まず“今ハマれる市場”をしっかり把握することが重要です。
映画・舞台・海外ドラマなどを幅広く見ることも良い勉強になりますが、優先順位としては、まず“狙うべきジャンルの徹底研究”が先だと考えています。
特に女性は年齢的な問題も出てくるため、戦略的な時間配分が大切です。
● ケース3:低音・外画志望の子
→ 発声・滑舌・音圧の基礎徹底+外画作品の研究
→読解力を鍛える、観劇・映画視聴の習慣化
「外画向きの声」と言われる子でも、実は海外ドラマをあまり見ていないということが多く、そのままボイスサンプルを作ると、どこかアニメ寄りのセリフになってしまうことがあります。
だからこそ、自分が“やりたいジャンル”の演技を日常的にインプットすることが不可欠です。
● まとめ:やるべきことを“選ぶ力”が伸びる鍵
声優や俳優の勉強は幅が広いからこそ、全てをまんべんなくやるのではなく、“今の自分に必要なこと”から優先的に練習することが重要です。
その判断には、第三者の視点(講師やプロのフィードバック)がとても有効です。
自分の特性を理解して、目的から逆算して優先順位をつける力を育てていきましょう。
◆ 演技の成長は、「わからない」を減らすことから始まる
“違いがわからない”
“何がダメかわからない”
“何をやればいいかわからない”
この3つを乗り越えるためには、
耳を鍛え、自分の視点を疑い、優先順位をつける力が必要です。
最初から完璧じゃなくて大丈夫。
でも、“なんとなくやる”からは、もう卒業しましょう。
◆ おわりに:あなたの「わかる」を育てよう
演技は、センスや才能よりも、「気づける力」=判断力と観察力で伸びます。
誰かに指摘される前に、「自分で気づけた」という経験が、あなたの成長を一番加速させます。
「違いがわからない」と感じたら、録音して比較する。
「何がダメかわからない」と思ったら、講師の視点を学ぶ。
「何をやればいいか」で迷ったら、自分に合った優先順位を探す。
少しずつ、“わからない”が“見える”に変わっていくはずです。
このコラムは、演技に悩んでいるあなたの「整理とヒント」になればと思って書きました。
もし今後のヒントになったら、YouTubeの方でコメント待ってます。
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